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Music

晩夏の夕べ、秋の朝。川辺を犬と歩くときに聴きたい音楽。

Text & photo by Yoshimi Yoshimoto (Design Studio Paperweight)

2016.10.06

めっきり涼しくなりつつある季節、愛犬との散歩の時間を優しく包み込むフレデリック・ディーリアスの"夏の夕べ"。晩夏の高原のウッドデッキの上で、気持ちの良い風に包まれているような気分にさせてくれます。

自然への愛情が分かりやすく表現されているそれは、クラシック音楽だと構えてみたり、こ難しい理屈は何も考えなくて良いのです。湿度の高い梅雨どきやその直後の夏真っ盛りの強い陽射しや蒸し暑さには似合わない。騒がしい街にも全く合わない。愛犬の廻りで蜻蛉や美しい小鳥が傍らで遊んでいたり、ひっそり花が咲いていると、音楽がもたらす効果が倍増するでしょう。芙蓉、夾竹桃、ホタル草、アケビ…。

ディーリアスの管弦楽集を聴いていると、やがて村はずれの川辺から山道に入り、谷を抜け大きく開けた野原を散歩しているような気がして来ます。i-podに入った曲群は四季の光景を輝かせ、朝と夜の光を一段と魅力的なものに変えてゆきます。私と愛犬の魂という不定形なものに優しい光が射し、思索を豊かにし、繊細かつ強靱な生きる喜びを静かに与えてくれます。ついつい田村隆一の詩、鳥の言葉を口ずさんでみたり。

ぼくの目には見えないが
きっともう秋ははじまっているのだ
ある一瞬 雲の形と色彩が夏のおわりを
告げることがある
そして黒い電線にただ一羽
キジバトがとまっていたりして
なにかひとりで考えている
鳥の言葉で考えている

半裸体の人間もその電線の下を歩きながら
なにか考えているようだが
人間の言葉とはかぎらない

© 2017 DESIGNSTUDIO PAPERWEIGHT Ltd.

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