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オールドノリタケのTrinket dish(ピン皿)

Text & photo by Yoshimi Yoshimoto (Design Studio Paperweight)

2016.11.09

1800年代末から第2次世界大戦前後頃まで、ノリタケカンパニーの前身である森村組と日本陶器で作られ主にアメリカへ輸出された花瓶、壷、陶製人形、置物、陶製化粧セット等とテーブルウェア・ディナーウェアの総称をオールドノリタケと呼ぶらしい。同じく輸出陶器である「オキュパイド・ジャパン」は、アメリカ統治下の植民地日本を思わせてしまうけれど、オールドノリタケは言葉の響きがノスタルジックで美しいと思う。

オールドノリタケの製品群は、日本の優れた技術力と伝統的な感性が融合した芸術作品として高い評価を受けている。その装飾の複雑さと完成度の高さ、熟練した筆使い、鮮やかな色彩の配列を駆使したアールヌーボー様式やアールデコ様式の陶器等は、特に人気の高いコレクターズアイテムとなっている。

アメリカではオールドノリタケに関する書籍が10数冊も出版され、コレクターズクラブも存在する。裏印は関税法改正によりNIPPONとNORITAKE JAPANの2種があり、それぞれ「ニッポンもの」と「ノリタケもの」と呼んで区別され、ニッポン・コレクターズクラブとノリタケ・コレクターズクラブで分かれて活動しているそうだ。

私は華飾華美な手描きの豪華な美術品的テーブルウェアには興味は余り無い。明治期アールヌーボーの盛り上げ花瓶類や、大正ロマン風のアールデコ類、ロココ風、風景画やインディアン、エジプト模様、ポップアート風の彩り豊かなその展開を見ても、わぁとも何とも思わない偏屈だし骨董マニアでも無い。

しかしこの写真のような小品に出くわすともう駄目だ。犬の表情を見ている間に虜となり購入を決めてしまう。1920~1930年頃のオールドノリタケのTrinket dish(ピン皿)だ。京焼きのような穏やかな色調と丸みのある形、可憐な花々の静かな装飾、可愛らしくも生意気で、寂し気な雰囲気がたまらない。

© 2018 DESIGNSTUDIO PAPERWEIGHT Ltd.

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