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江戸小物細工の縁起物「犬張り子」

Text & photo by Yoshimi Yoshimoto (Design Studio Paperweight)

2017.06.07

丸い体に丸い顔、太い足ですっくと立つその姿は健康そのもので大変に愛らしい。犬張子の起源は平安時代の狛犬迄遡ります。犬は多産で安産な事から、犬張子は安産・成長祈願の縁起物として日本において代々受け継がれてきました。初宮参りの祝い、節句等の飾り物や縁起物として、犬張子が贈物として珍重されて来たのです。左の画像にあるざるかぶりの犬張子の意味がお分かりですか?

ざるは風を通すので鼻の通りを良くする、つまり風邪を引かない様に願いに加え、ざるの素材「竹」という字に「犬」を加えると「笑」という字に似ている、という縁起物。傘は健康も幸福な笑顔も「かさねがさね」という意味なのです。洒落を効かせつつ幸福をもたらすざるかぶり犬張子、飾っておくだけで嬉しい気分になります。

犬張子等の江戸小物細工は江戸玩具とも呼ばれ、江戸時代の風情をミニチュアで再現したものもあり、小さなものは2cmで、大きいものでも15cm位。日本人には小さきものを愛おしむ習慣があるのでしょう。贅沢を禁止された封建時代に町人が生み出した手技と遊び心による精巧なつくりは、今見ても感心するばかり。小さくても江戸っ子の遊び心と心意気がそこかしこに見え隠れしていますね。

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